診療内容

　耳鼻咽喉科の診療体制は、常勤医師２人と大学からの非常勤医師で診療を行なっています。
　午前中の外来診療は耳鼻咽喉科一般疾患の精査加療および判定を行っています。午後は専門外来(鼻副鼻腔術後外来、アレルギー専門外来、補聴器専門外来、嚥下機能評価外来など )を設けています。総合的な診療を基本とし、入院を必要とするような急性期疾患、救急患者様の受け入れも積極的に行なっています。
　手術日は、火曜全日・水曜午後の２日間で、難病指定の好酸球性副鼻腔炎をはじめ、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎に対する鼻副鼻腔手術、頭頸部良性腫瘍に対する頭頸部手術などを全身麻酔下で行なっています。
　当科は、鼻副鼻腔手術において全国で定評があり、明治25年に開設された最も歴史の長い教室である東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室の関連施設です。そのため、国内では最高水準のアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎に対する専門的な診療体制を整えています。また、多くの病院で対応が困難とされる指定難病の好酸球性副鼻腔炎に対しても、最新の手術技術を導入して対応しています。ポリープが著名な重症例に対する、生物学的製剤による治療も可能です。また、重症・難治性のアレルギー性鼻炎に対しても、確定診断や免疫療法の導入による根治的治療を行なっています。花粉-食物関連症候群(PFAS)に対する診断も対応可能で、鼻副鼻腔領域の免疫アレルギー疾患全般に対応しています。
　突発性難聴や顔面神経麻痺などのステロイド点滴治療、日常生活が困難なめまい症の対応、あるいは喉頭浮腫や急性扁桃炎などの急性炎症疾患などの対応など、入院を要する疾患も適宜対応しています。悪性疾患など高度な専門的医療を必要とする症例に対しては、当院との医療連携により大学病院の専門班への患者紹介を行なっております。
　「私共が患者として同じ病気にかかった時、どんな治療をしてもらいたいか」、私共が受けたい治療をスタートラインと考え、良質な医療技術と医療サービスを提供することを常に心掛けています。眼前に広がる中目黒公園と目黒川に囲まれた恵まれた環境をもつ快適な当院で、患者様にはゆっくりと治してお帰り頂きたいと願っています。

主な診療疾患

鼻副鼻腔アレルギー疾患

• 慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症、歯性上顎洞炎に対する保存的療法および内視鏡下手術、好酸球性副鼻腔炎に対する内視鏡下手術および生物学的製剤の導入、副鼻腔良性腫瘍、術後性のう胞に対する内視鏡下手術、眼窩骨折整復術など

アレルギー・免疫異常疾患

• 好酸球性副鼻腔炎に対する確定診断、アレルギー性鼻炎・花粉症に対する原因抗原の同定、アレルゲン免疫療法の導入、下鼻甲介手術、花粉-食物アレルギー症候群(PFAS )、口腔アレルギー症候群(OAS )の診断など

頭頸部腫瘍

• 頭頚部腫瘍の診断(喉頭、咽頭、舌、副鼻腔、唾液腺、甲状腺など )、手術治療(良性腫瘍 )など

難聴・内耳疾患

• 突発性難聴、めまい症、メニエール病、補聴器作製など

中耳疾患

• 慢性化膿性中耳炎、真珠腫性中耳炎、滲出性中耳炎など

その他

• 声帯ポリープ、反回神経麻痺、急性上気道炎、顔面神経麻痺など

施設認定

• 声帯ポリープ、反回神経麻痺、急性上気道炎、顔面神経麻痺など
• 日本耳鼻咽喉科学会認定専門医研修施設
• 日本アレルギー学会認定専門医研修施設(2014年4月認可 )
• 日本アレルギー学会外来見学研修受入れ施設

実績

　免疫アレルギー疾患を専門としています。副鼻腔疾患に対する手術は、最新の慈恵医大式の術式を導入しています。これまでに、内視鏡下鼻内手術の啓蒙として、慈恵医大で開催されている手術研修会にインストラクターとして参加しています。全国から参加する耳鼻咽喉科医に手術解剖の指導やアレルギー分野の講義を行うことで、手術技術の向上ができるように努めてきました。
　好酸球性副鼻腔炎に対する生物学的製剤の治験の実施や国際共同臨床研究を行っています。また、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構と東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室と共同で、遺伝子組み換え経口ペプチドワクチンである「スギ花粉米」の研究を行っています。そのため、耳鼻咽喉科領域では近年注目されている最新の製剤や研究開発に関しては、十分な経験と知識を持っています。
　平成26年４月には日本アレルギー学会認定専門医教育施設として認可を受け、アレルギー専門医の育成に加えて幅広いアレルギー専門診療を行なっております。アレルギー専門診療を幅広く行なうため、慈恵医大附属病院および東邦大学医療センター大橋病院においてもアレルギー外来での専門診療を行なっています。
　平成31年4月からは、本邦の頭頚部腫瘍のスペシャリストである加藤孝邦客員教授(東京慈恵会医科大学)に非常勤での外来診療および手術支援をしていただいています。
　地域医療に貢献できるように、これからも高度で専門性の高い医療を提供できるように努力したいと考えています。