はじめに

血液内科の病気と聞くと、急性白血病や悪性リンパ腫のような重い病気、いわゆる血液の癌を思い浮かべる方も多いかと思います。血液の癌は、「不治の病」というイメージを持たれがちですが、近年の血液疾患治療の進歩は目覚ましく、疾患によっては治療成績が大きく向上しています。その中で、ご高齢の方や持病をお持ちの方でも、状態に合わせてお体に負担の少ない治療を行う事も可能です。

また、血液の癌以外の病気、良性疾患に関しても診療しています。鉄分やビタミンなどの栄養素が足りない事が原因である貧血や、内服されている薬剤が原因の血球減少、自己の血球に対する抗体が原因で発症する貧血・血小板減少など、癌以外の病気も幅広く診療しております。

目黒区周辺の患者様に、質の保たれた医療を提供したいと考えております。お気軽にご相談頂ければと思います。どうぞ宜しくお願い致します。


当科で実際に診療している血液疾患

悪性リンパ腫・多発性骨髄腫・骨髄異形成症候群・白血病・骨髄増殖性疾患(真性多血症・本態性血小板血症・骨髄線維症)などの造血器腫瘍の診療を行っています。その他、再生不良性貧血や特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血などの難病や、鉄欠乏性貧血やビタミンB12欠乏性貧血などの疾患も治療しています。

血液内科受診の契機となる検査異常や自覚症状

血算の異常 (白血球増多・減少や白血球の分画異常、多血症や貧血、血小板増多・減少)が主です。その他、蛋白分画の異常や凝固異常といった検査異常、リンパ節腫大などをもとにご紹介頂きます。

1)血算の異常
血算の異常

2)蛋白分画の異常 (総蛋白・アルブミン比の乖離、M蛋白の検出など)
血液疾患診断のために必要な検査 M蛋白が検出された場合には、多発性骨髄腫および、その類縁疾患が疑われます。

3)リンパ節腫大
リンパ節腫大を認める病気の1つに悪性リンパ腫が挙げられます。進行すると、寝汗・発熱・体重減少などの症状を伴う事があります。

血液疾患診断のために必要な検査

ご紹介頂いた際、最初の段階で重い病気かどうか、判断出来る事は稀です。実際は、採血を詳しく調べた上で、さらなる検査が必要と判断した場合には、血を造るおおもとの組織である骨髄を調べる検査(骨髄検査)を行う場合があります。骨髄検査は、30分から1時間程度で終了する比較的簡便な検査です。その他、リンパ節が腫脹し、悪性リンパ腫が疑われるケースでは、リンパ節生検を行う事があります。

血液疾患診断のために必要な検査

具体的な検査項目

  • 血液検査(遺伝子変異等の特殊検査・ウイルス検査・腫瘍マーカなど含む)
  • 骨髄穿刺 (骨髄像・細胞表面抗原・染色体・遺伝子変異など) および 骨髄生検
  • 画像検査 (レントゲン・CT・MRIなど。PET-CT:他施設に依頼)
  • 造血器腫瘍の生検による組織採取(リンパ節生検、消化管内視鏡による生検、外科的組織の摘出など。病理組織診断の他、細胞表面抗原や染色体検査を行う)

治療

科学的根拠に基づいた標準的な治療を行います。さらに最新のエビデンスをもとに新規の化学療法、分子標的薬等を使用し、血液疾患の治療成績の向上を目指しています。それぞれの患者様の疾患の状態・併存症や社会的背景を踏まえた上で、その都度、最善と考えられる治療方針を提案させて頂きます。また、治療に際し、入院希望/外来希望なども患者様の御希望に応じて柔軟に対応しております。
当科は、東京医科歯科大学 血液内科の関連施設です。造血幹細胞移植やCAR-T療法などの免疫細胞療法は、当院では行う事ができませんので、適応と考えられる場合には、大学病院などの専門医療機関へ紹介させて頂きます。

おわりに

目黒区周辺の地域の患者様および近隣のクリニック・病院の皆様方から信頼される血液内科を目指して参ります。血液異常など、血液疾患が疑われる場合には、ぜひご相談ください。