内分泌代謝・糖尿病内科の特色

  • 糖尿病は新型コロナウイルス感染症の重症化に関連するだけでなく、さまざまな重篤な疾患の誘因になりますが、血糖コントロールを改善させることにより多くの合併症を防止できます。古くは生活習慣を是正することが最も重要な治療法でしたが、近年開発された糖尿病治療薬にはめざましい効果があり、心臓血管病や脳卒中、腎不全などへの進展を予防し、死亡率を低下させることが明らかになりました。最新の国際的エビデンスに基づいた治療法を提案いたします。
  • 高血圧は糖尿病や脂質異常症などの慢性疾患に高頻度に合併して、心血管系の病態の進展を早めます。最近、副腎からのホルモン過剰産生が高血圧をきたす(原発性アルドステロン症)ことも明らかになりましたが、高血圧の病態を的確に診断して治療することが大切です。病態に応じた最適な血圧管理を行います。
  • 内分泌疾患は視床下部・下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、副腎、性腺から分泌されるホルモンの異常による病態です。頻度が多いのはバセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患ですが、そのほかにも血液中のナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、血糖などの異常をきたすさまざまな病気があり、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの慢性疾患に隠れていることもしばしばです。高い専門性を必要とする幅広い領域の内分泌疾患をできるだけ早期に発見して治療することをおすすめします。
  • 代謝疾患には糖尿病のほかにもコレステロールや中性脂肪などの異常を示す疾患があります。これらをどのように管理すべきか、それぞれの病態に応じた治療の功罪をご説明します。

診療内容

主な入院診療

  • 2型糖尿病に対する糖尿病教育入院
  • 高血糖の治療(薬剤調整、インスリン導入など)
  • 糖尿病合併症の精査・治療目的入院
  • 1型糖尿病に対する糖尿病教育(カーボカウント法など)、インスリンポンプ(CSII、SAP療法)導入
  • 糖尿病シックデイの治療
  • 糖尿病ケトーシス・ケトアシドーシスなどの緊急症・準緊急症
  • 甲状腺中毒症や粘液水腫に対する入院治療
  • 甲状腺クリーゼの緊急治療
  • 原発性アルドステロン症における確定試験
  • 各種内分泌疾患の診断確定・治療方針決定のための内分泌負荷試験
  • 副腎不全の急性期治療、原疾患の精査
  • 稀少代謝性疾患の原疾患の究明
    など

糖尿病

 心血管疾患、腎症、神経障害などの頻度の高い合併症を精査しつつ、インスリン製剤やGLP-1作動薬など多くの薬剤療法を含む治療法の中から、最適な方法を導入します。また、医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・理学療法士による糖尿病教育プログラムによって必要な基礎知識をお伝えしています。 入院期間は病状によって大きく変わりますが、なるべくご要望に応じるようにいたします。

 インスリンやGLP-1作動薬などの自己注射に十分、習熟していただけるよう適正な手技、用法をお伝えします。また、フラッシュグルコースモニタリングなどの最新の機器について正しい使用法を御指導いたします。必要な場合は持続血糖モニタリングシステムや持続皮下インスリン注入療法により血糖変動を連続的に把握しながら治療を行います。

内分泌疾患

 間脳・下垂体疾患、甲状腺疾患、副腎疾患、副甲状腺疾患、性腺疾患、機能性神経内分泌腫瘍、遺伝性を有する内分泌症候群、二次性高血圧を含む難治性高血圧症など、あらゆる領域の内分泌・代謝疾患に対応して、診断・治療に必要な各種ホルモン負荷試験や画像診断を行い、早期に的確な治療法に到達できるようにしています。


診療体制

 2021年4月から診療体制がかわり、ほぼすべての糖尿病・内分泌・代謝・高血圧性疾患を扱う新しい体制になりました。

 糖尿病では高血糖のコントロールや糖尿病教育、原疾患・合併症の精査・治療目的の入院を活用していただくことができます。また、血糖の高値やホルモン異常がある方は、差し迫った大切な手術や治療がうけられないことがしばしばありますが、当院では糖尿病や内分泌疾患を治療しながら、迅速かつ円滑に手術や治療を進められるよう、専門的な診療支援をいたします。

 ご自身の病状がよくおわかりにならない場合は、ご自宅や職場の近くのかかりつけ医にご相談されることをお勧めします。当院を受診する必要性をご判断いただいたうえでこれまでの経過を紹介状に記載いただくことにより、スムーズに診断・治療を行うことができます。

 重篤な合併症を併発しておらず、コントロールが改善した糖尿病、高血圧、脂質異常症などの慢性疾患の患者様の場合は、ご紹介いただいた地域の先生方に逆紹介させていただくことを御提案します。かかりつけ医の先生と当院が相互に病態を把握・共有することにより、病状の変化に伴う再検査や新たな治療の必要が生じたときにすぐにお受けできる病診連携体制をめざします。


主な診療疾患

疾患名
2型糖尿病 1型糖尿病 ミトコンドリア
糖尿病
薬剤誘発性糖尿病 バセドウ病
橋本病 亜急性甲状腺炎 無痛性甲状腺炎 甲状腺腫 原発性
アルドステロン症
治療抵抗性高血圧 食塩感受性高血圧 クッシング症候群 褐色細胞腫 副腎不全
原発性副甲状腺機能亢進症 副甲状腺機能低下症 先端巨大症 クッシング病 プロラクチノーマ
ACTH単独欠損症 下垂体機能低下症 中枢性尿崩症 SIADH インスリノーマ
その他膵内分泌腫瘍 インスリン自己免疫症候群 脂質異常症 高尿酸血症 低尿酸血症